本研究はわが国の今後の都市空間整備において重要である都市空間密度に関して、人々の景観認知というアプローチから適正な空間密度を導くことのできる評価手法を開発することを目的としている。従来空間密度は建物の高さ、容積率、建蔽率、隣接道路幅員等の指標によって評価されその生活環境としての質を指し示してきた。本研究ではそれらの指標と人々が直接体験する空間密度やそれに由来する快適性の間にあるギャップを心理学的観点から検証し、人間の視点にたった適正な空間制御のあり方を検討する。最終年度においては、これまでの検討が街路植栽の空間密度における効果に限建されていたが、今回、電柱、街灯、植栽などの複数の構成要素が配置された場合の密度感評価について検討した。評価指標としては、ぱらつきや物の墨、種類の多さが密度感を高めているとの仮説から、集中指数、視距離分布、透視物体面積率、本数密度などを提案した。また、CGモデルによる計測や心理評価実験を行い、指標と密度感の相関を調べた結果、集中指数や透視物体面積率が特に相関が高く、密度感評価には有効な指標と考えられる。また、配置や構成要素の種類などの要因ごとの分析では、電柱や街灯など複数の柱を集中させて配置することが密度感を緩和するためには有効であるという可能性を示すことができた。このことは、今後の都市景観整備において、本数や閥隔規制以上に他柱と近接させるなど配置規制が有効であるという可能性を示すことにもつながっている。街路デザイン手法の一例としては、集中型の配置とすることや植栽を植えることで柱を遮蔽することなどが考えられる。
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