本研究は、1922年に刊行された今和次郎著『日本の民家』初版に収録された民家の現在を確認し、その民家自体、家族、周囲の様子の変容を徴するのが目的である。またそれら調査結果についてデータを整理している。 2年目にあたる平成19年度においては、以下の調査を行った。 国分寺調査(5月)ご子息・今保太郎氏からの聞き取り(6月)奈良調査(7月)和歌山調査(7月)九州調査(8月)伊豆大島調査(9月)広島調査(11月) 工学院大学図書館での今和次郎野帳資料調査(5月、10月) これら足跡は、今和次郎の実際の旅行経路に即して行われた。それぞれの調査において、村誌を中心とした事前調査、今和次郎が訪れた地域、発見可能であった場合その民家の実測、ならびに周囲の様子をあらわす白地図の収集を行った。またGPSを効果的に用いた本研究団体の足跡をも蓄積中である。教育委員会との連携、あるいは現地の人々への直接の聞き取りによって、総合的な調査を行うことができた。 また後半においては、大阪市立大学での調査研究者によって、工学院大学図書館所蔵の野帳資料の再検討ならびにこれまでの調査旅行についてまとめられ、修士論文三冊としてまとめることが出来た。また定期的に建築専門誌への連載を行った。広く研究の内容を公開でき、その意義は高かったと思われる。 1、2年目によって特に関西以南の今和次郎の足跡復元と民家の現状をほぼ調査することが出来た。3年目は東京周辺ならびに関東以北の調査を実行する予定である。またこれまでに得た知見を元にして、学術論文への投稿を行う予定である。
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