機能性金属構造体創製とは、金属材料の組織、形態を含めた構造を形成・制御することによって新機能を発現させる構造体創製を意味する。ファイバーレーザを用いた「オールアラウンドレーザフォーカシング(全周囲レーザ集光)法」による局所加熱によって、金属材料の微小領域の溶融を実現し、機能性金属構造体創製の要素技術の一つである微小領域における金属間化合物の合成を試みる。また、微小金属溶融滴の積層による微小(マイクロメータースケール)三次元造形についても試みる。本年度は、主に金属溶融滴生成のためのオールアラウンドレーザフォーカシングシステムの設計・製作を行った。当システムはレーザ照射系及びレーザ照射時間制御系から構成される。 昨年度設計・製作したレーザー照射装置を用い、金属細線溶融および金属間化合物合成のための照射・加熱実験を行った。先端が溶融する条件をレーザー出力(レーザ照射系)および照射時間(レーザ照射時間制御系)を変化させて明らかにした。溶融滴の落下については、溶融部が微小なために表面張力が重力に勝り容易ではない。そこで、ナノ秒レーザーを細線の溶融部に照射し、溶融滴を容易に落下させるシステムを構築した。オールアラウンド集光位置に金属微粒子を供給できるように細管を光軸と同軸上に配置し、金属微粒子を加熱溶融可能なシステムを設計製作した。ナノ秒レーザー照射によりファイバーレーザー加熱により溶融した細線先端から溶融滴を切り離し、3次元造形の基本技術である基板上への溶融滴の堆積に成功した。
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