研究課題/領域番号 |
18656224
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東谷 公 京都大学, 工学研究科, 教授 (10039133)
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研究分担者 |
山本 量一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10263401)
神田 陽一 京都大学, 工学研究科, 助手 (60243044)
新戸 浩幸 京都大学, 工学研究科, 助教 (80324656)
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キーワード | ネットワーク電極 / ナノ細線 / 透明導電膜 / 熱変形 / 金ナノ粒子 / 無電解銅めっき |
研究概要 |
インジウムを用いず、かつITO膜より高い導電性と透明性を併せ持つ薄膜材料の開発を試みるべく、ネットワーク網目構造を持つ金または銀の透明導電性膜の開発を目的とする。 透明基板上にラテックス粒子単層膜を作成し、軟化溶融温度(60〜150℃)近くまで温度を上げることにより、粒子を軟化変形させ、フィルム状の規則構造体を作成する。これを鋳型とし、この上から金属ナノ粒子を塗布、またはin-situ発生させる。そこで、金属ナノ粒子の溶融温度(150〜250℃)まで昇温すると、粒子間隙がテンプレートとなり、基板上に金属ナノ粒子を溶融結合させた網目構造の導電体が形成される。さらにその後、鋳型を400℃程度で焼き飛ばすか、溶剤による溶解除去をするか、機械的除去をすると、透明基板上にネットワーク状の透明導電性膜が形成される。金属ナノ粒子として金、銀を用いると、その電気抵抗は10-6Ωcmで、ITO膜の10-4Ωcmに比べ2桁低いために、ITO膜より遥かに高い電導性が期待でき、かつ網目構造であるため、高い透明性が得られる。この手法の確立を目指す。 本年度は、熱変形を詳細に検討することができるように、粒径の大きなPSL粒子を入手し、熱変形過程を顕微鏡で詳細に検討した。ガラス基板にこの粒子を塗布し、100℃〜150℃で一定時間の熱履歴で熱変形することを確認した。 この熱変形させた粒子が載ったガラス基板を用いて、無電解メッキを行うため、触媒粒子溶液に浸漬後、メッキを試みた。しかしながら、全く析出が起こらなかった。この原因の解明に多大な時間を要したが、結論として、用いたPSL粒子に添加されている添加剤(非公開)が原因であるとほぼ断定した。一方、PSL粒子の自作を試み、粒径1μmの粒子の合成に成功した。多分散であるが、本粒子を用いると、メッキが析出することを確認した。しかし粒径が小さく、熱変形過程を詳細に検討できるものではなく、今後粒径の大きな粒子の開発を継続する。
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