研究概要 |
本研究では,シリカあるいはチタニアなどのセラミックスを膜材料として用い,選択的溶解機構に基づく新規な水素分離膜を提案している。まず,シリカ,チタニアおよびリンとの複合酸化物材料を用い,プロトン伝導性薄膜の創製を行う。このプロトン伝導性に電子伝導性を付与すると,水素分離膜を創製することが可能となると考えられる。本研究では,この新たな水素分離メカニズムの原理を謙実証し,100-300℃での中温度域で完全水素選択性を示すセラミック膜を創製することを目的とする。今年度は,プロトン伝導性セラミックスの作製と電気伝導率の評価を行なった。 (1)プロトン伝導性セラミックスの作製 チタンテトライソプロポキシド(TTIP)を出発原料とし,加水分解によりTiO_2ポリマーゾルを調製した。その後,85%リン酸を添加し,TiPポリマーゾル(モル比H_3PO_4/TTIP=9/1)を得た。またTiO_2ポリマーゾルを縮重合(30℃,8h)することでTiO_2コロイドゾルを調製した。TiO_2コロイドゾルを120℃右乾燥させ,所定量のTiPポリマーゾルを加え,80℃乾燥にすることでTi/TiP(=1/1,1/2,1/3; 酸化物重量基準)粉末を作製した。さらに,焼成(300,500,700℃;30min)し,62〜250MPaで成型,ペレット両面に白金スパッタを行い,Ti/Tipペレットを作製した。 (2)電気伝導率の測定 作製したTi/TiPペレットに銅線を結線し,温度50〜250℃,雰囲気ガスは乾燥N_2およびバブリング(水蒸気圧5kPa)とした。その結果,焼成温度とともに電気伝導率が減少する傾向を示した。また,XRDピークパターンよりチタンニウムリン酸が生成していることが確認でき,Ti/TiP=1/3ペレット(焼成温度300℃)は200℃で最も高い電気伝導率(6.7mS/cm)を示した。
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