ディーゼル車から排出されるパティキュレート(PM)による環境汚染を抑制するため、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)が実用化されている。また、触媒を用いた除去も検討されているが、それらPM除去装置の効率的な作動の保証や排出PMの監視のためには、PM量を簡便に測定できるセンサが不可欠と考えられるが、現在小型かつ簡便に使用できるPMセンサは存在しない。本研究では、排ガス中でセンサ素子にPMを捕集し、その燃焼熱によるセンサ素子の温度上昇から排ガス中のPM濃度を測定する『接触燃焼式PMセンサ』の開発を目的としている。本年度はそのための基礎的検討として、PM捕集能とPM燃焼性能を併せ持つセンサ素子の作製と燃焼熱によるPM検出の可能性について検討した。 センサ素子材料として、PM燃焼活性を有するLa_<0.9>K_<0.1>CoO_3(LKC)を取り上げ、PM捕集能をもつ多孔体を作製した。孔形成剤としてのポリビニルアルコール(PVA)とLKC触媒前駆体を混合、成型後に1000℃以上で5時間焼成することにより、センサ素子として使用可能な機械的強度を有する多孔質体が得られた。また、PVAとLKC前駆体の混合比により多孔性、孔径の制御も可能であった。LKC多孔質体(1100℃、5h時間焼成)に、PM代替品のカーボンブラック(CB)を担持させて、空気中で加熱したところ、500℃〜700℃の範囲でPMが燃焼し、その燃焼熱による素子の温度変化を熱電対の電圧変化として検知でき、センサ信号はCB量に比例することから、原理的に接触燃焼式PMセンサの構築が可能であることを確認した。素子の多孔性はPM捕集に必須であるが、多孔度とともにセンサ信号が減少することから、PM捕集能とセンサ感度が両立する多孔度の最適化が課題である。また、PM燃焼を制御する触媒成分の検討も必要である。
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