地球観測や微小重力応用など宇宙利用分野において、多種多様のセンサデータを融合することで単一のセンサでは得られなかった情報を抽出する。通常はデータ融合の際に、相互相関が用いられているが、データ相互の関係が線形であることを前提としており、対応するデータ特性が異なる場合には部分的逆相関や非線形性のために、良い相関が取れなくなる。本研究では、相互情報量を適用することで宇宙利用におけるこれらの問題を解決することを目的とする。 相互情報量はデータ間のヒストグラムをもとに得られる統計的な指標である。この性質を利用して、植生に対して非線形に振舞う2つの波長データに対しても、データ融合を可能とすることが判明しており、さまざまなセンサのNDVIデータを調べる上で有効であることが判明した。また、同様に植生の影響を受けることのある1.6ミクロン帯と2.2ミクロン帯の画像を融合する際にも有効であることが明らかになった。この場合、相互相関においては推定誤差が大きすぎるために衛星の振動に伴うレジストレーション誤差を検出することが不可能であったのに対し、相互情報量はサブピクセル単位での衛星振動を明らかにした。 データ融合にあたっては、高精度補間、多段階リサンプリング法、サブピクセルマッチングを可能とするアルゴリズムを作成しており、データプロダクツの評価において相互相関に比べてばらつきが小さくなることを示した。懸念された計算時間に関しては、データ検索範囲を相互相関によって絞り込むことで、問題を解決した。
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