海洋深層水を用いた微細藻類の培養を提案する。培養には、光合成のための太陽光とCO2や、成長・増殖のための栄養塩を効率よく供給するフォトバイオリアクターを用い、培地には海洋深層水を利用して、コストを低減する。本研究では、二相流CFDに藻類成長モデルを組み込むことで、実際に培養実験を行うことなく、リアクターの開発が可能となるヴァーチャルフォトバイオリアクターを開発する。研究期間の1年目にヴァーチャルフォトバイオリアクターを開発する。2年目に、これを用いて藻類の生長を予測し、さらに検証のため、実際に培養実験を行う。 そこで初年度は、フラッシングライト効果を表現できる光合成モデル(光合成暗反応カルビンサイクル内のRuBP離散モデル)を非構造格子対応の二相流CFDコードに組み込み、ヴァーチャルフォトバイオリアクターを作成した。フラッシングライト効果は、リアクターの中では太陽光を受けるリアクターの厚さ方向の上層と、高濃度培養であるため光のほとんど来ない厚さ方向下層とを、流れの渦によって行き来することで達成される。従ってリアクター内の乱流や渦を確実にシミュレートできれば、その周波数から光合成効率が決まり、藻類成長モデル(光合成モデル)がそれを表現することになる。 同時に、海洋深層水を培地に使用することを考慮して、従来のようなバッチ方の栄養塩補給・藻類収穫方式でない、連続的な培地供給・収穫型の新しいリアクター形状を考案した。次年度は、ヴァーチャルフォトバイオリアクターを用いて実際にコンピュータ上で藻類培養をシミュレートし、また実際に培養実験を行い、これを検証する。
|