スマトラ島沖の地震津波による大災害は記憶に新しいところであるが、わが国も繰り返し津波の被害を受けてきた。津波防災・災害の軽減の社会的要請は国際的にも非常に大きいものがある。地震津波災害を防ぐには発生をすばやく感知し、素早く警報を出すシステムが効果的と考えられる。本研究は以上の背景から、海底に設置した圧力計、波浪探知レーダーを連動させて津波を検知し素早く来襲警報を出すシステムの実現に向けての基礎研究が目的である。平成18年度の研究では海岸に設置したレーダーによるPPI画像を検討した結果Wave Frontの探知が可能であることが判明した。ただし海上風が無い場合は後方散乱は無いからレーダーには波浪映像は映らない。平成19年度はこの場合を重点的に検討した。即ちレーダーの可能性を更に詳細に検証するため小型船(漁業調査船)を借用し本船レーダーからのPPI画像信号を分岐しSTCを除去した状態で沿岸沖合いから波を計測したところ、後方散乱により砕波を確認することができた。これは津波による砕波があれば検知につながる結果を得たことを意味する。またこういったことを検証するためには本学開発の超小型の現有波浪ブイを使用する必要があるため計測目的に合わせて性能を検討した。一方圧力計による検知の場合、その必要精度、特にノイズ除去の方法について理論的に検討し、数値シミュレーションで確認する方法について継続検討した。更に海岸設置のマイクロ波レーダーPPI画像から周波数一方向スペクトルを算出する際には深水波と異なり水深影響が現れるのでプログラム上で分散曲面を修正し使用することを検討した。なお海外において津波類似現象についても若干調査した。
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