研究概要 |
大強度パルス相対論的電子ビーム(Pulsed, Intense Relativistic Electron Beam: IREB)を土壌に照射して、土壌中の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds: VOC)を無害化することを最終的な目的とし、1.土壌中への電子ビームの進入・エネルギー付与特性の解明、2.電子ビーム照射による模擬汚染土壌中のVOC濃度変化の測定、3.土壌中へのIREB進入の数値シミュレーションを行った。カイネティク・エネルギー2MeVのIREBを模擬土壌試料(長さ230mm、直径100mm、密度1g/cm^2、水分39%)に照射したところ、IREB電流は土壌試料入射端で0.41kA、試料末端で0.12kAであった。試料末端で電流が確認されたことからIREBは十分に土壌中に進入する能力があることが確認され、試料中で0.29kAの電流減少が認められたことから土壌へのエネルギー付与も確認された。VOCとしてホルムアルデヒド36%溶液を含ませた汚染土壌試料に上記のIREBを照射したところ、ホルムアルデヒド濃度は、照射前の60ppmが、1回照射後で50ppmに、2回照射後で40ppmに、3回照射後で30ppmに、4回照射後で20ppmに減少した。しかしながら、5回照射以後は濃度の低下は認められなかった。さらに、初期ホルムアルデヒド濃度が300ppmでは、1回のIREB照射後で200ppmに、2回照射後で150ppmに低下した。これらの結果より、IREB照射による汚染土壌中のVOC(ホルムアルデヒド)処理の成功が確認された。くわえて、数値シミュレーションでは、土壌およびIREB照射窓のモデル化、土壌がない場合のIREBの進入特性の計算(土壌がある場合の比較対象用)を行った。
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