研究課題
嫌気雰囲気において、マンガン酸化真菌Paraconiothrium sp like-strainがマンガン(II)イオンを酸化する条件を検討した。窒素雰囲気において、マンガン(II)イオンを含み、酸素の代替電子受容体を添加した培地(pH6.5)で当該菌株を50日間〜250日間培養し、マンガンの濃度(原子吸光法またはICP-MS)、電子受容体濃度の経時変化を調べ、マンガンの鉱物化をモニタリングした。代替電子受容体として、硫酸イオンと硝酸イオンを試すために、マンガン(II)イオンの当該菌株による酸化過程において、陰イオンクロマトグラフィーによりこれらの濃度変化をモニタリングしたところ、250日間たったあとも硫酸イオンにはあまり明瞭な結果は得られなかった。一方、硝酸イオンではマンガン(II)イオンの初期濃度を50mg/Lとしたとき、50日間で200mg/Lの硝酸イオンの減少が見られ、マンガン(II)イオンの初期濃度を130mg/Lとしたときには、50日間で50mg/Lしか硝酸イオンの減少がみられなかった。嫌気雰囲気においては、好気雰囲気条件に比べて、マンガン(II)イオンに対する耐性も、酸化速度も低いことを示しているが、硝酸イオンがマンガン(II)イオンの酸化に利用されていることが観察された。肉眼でマンガン酸化物を確認できる酸化量には至らず、ICP-MSをもってしてもマンガン(II)イオン濃度の変化を追うことは困難であった。マンガン(II)イオンの減少量と硝酸イオンの減少量とを定量的に結びつけ、当該微生物によるマンガン(II)の嫌気酸化特性をあらわすには、実験系をさらに工夫する必要があると思われる。
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