研究概要 |
平成19年度は、3年の計画年度の2年目であり、(1)有機物分解速度へ及ぼす圧力等の効果の把握、(2)液体シンチレータの分解実験について検討した。 このうち、有機物分解速度へ及ぼす圧力等の効果の把握については、平成18年度に設計制作した実験装置を用いて、これまでに代表的有機物として使用してきたn-ドデカンを分解対象物質として、使用する超臨界二酸化炭素の圧力を変化させて、有機物分解に及ぼす効果を定量的に調べる実験を実施し、高圧粋中への二酸化炭素の溶解量の増大およびミセルへの有機物の溶解量の増大を確認した。特に、後者については高圧中でのレーザー光散乱実験の結果、常圧から12MPaに加圧することによって、界面活性剤で形成される水のミセル径が82nmから104nmに増大することを定量的に把握できた。N-ドデカンの分解は時間に対して一次反応として進み、空気加圧に比べて、二酸化炭素で加圧した場合に、反応速度定数が、0.012min-1から0.019min-1に増加し、高圧水中二酸化炭素マイクロエマルジョンでの効果が認められることを明確化できた。また、液体シンチレータの分解実験については、この研究の応用分野の一つが病院などで利用されている液体シンチレータの湿式分解にあることに鑑み、この応用の可能性を探った。液体シンチレータは安定な芳香環を有する有機物であるため、代表例としてキシレンを選択し、平成18年度に設計制作した実験装置を用いて、分解実験を行った。、この結果、n-ドデカンに比較しても分解しやすいこと(反応速度定数として0.023min-1)が確認された。しかし実用的には、さらに分解速度を向上することが好ましいため、分解を促進する添加物として酸化ルテニウムを添加して分解の促進を図ることを考案し、次年度に実際の分解実験を行うこととした。キシレンの分解については常圧での分解実験も行い、常圧での反応速度定数が0.009min-1であるのに対して、40℃,15MPaで0.023min-1であることが判明し、高圧での分解の優位性を確認した。
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