研究課題
雌雄同株は優勢の雄性決定(M^F)と劣勢の雌性決定遺伝子(F^f)の相同染色体(M^F-F^f)からなっている。三性株で一度雌株と雄株が出現すると、雌雄同株が集団から排除される。この選択圧のもとで染色体M^F-F^fが消失し、原X染色体(M^S-F^f)と原Y染色体(M^F-F^S)の組換えが抑制されXY染色体が完成する。重イオンビームを照射することで染色体異常と雌性不稔を同時に誘起させ、非組換え領域をもった擬似的性染色体が出現するかどうかを調査する。これによってチャールズワースの模式図に代表される植物性染色体の進化モデルを実証する。重イオンビーム(重粒子線)は理研のリングサイクロトロンで発生させたものを用いた。マンテマの生育期間と開花までの時間を考慮すると、研究は複数年度に渡って何回も繰り返す必要があろう。19年度は初年度の18年度に引き続き以下の研究を行った。1.マンテマ属のBAC-FISHとマルチカラー競合FISHを用いた核型解析:ゲノム解析とBAC-FISHの可能性を検討した。マンテマ属の染色体はほとんどが中部動原体で個々の染色体を識別することが難しい。BACクローンを直接プローブとして用いスクリーニングした結果、染色体特異的な繰り返し配列とSTS配列を得ることができた。2.異種交配による雌性両全異株の作出:S. latifolia x S. conicaの交配と重ビームイオン照射を試みている。S. latifoliaの核型は2n=22+XY、S. conicaは2n=22で交雑が可能で、重ビームイオン照射後、雌雄両全異株や三性株のスクリーニングに取り掛かっている。3.重イオンビーム照射による雌雄異株の作出と性染色体:重イオンビーム照射条件の検討をした。植物の染色体に最大の影響を与える照射条件を、致死率と生存した個体の核型解析から探り、いくつかの突然変異体を単離することに成功している。種子照射に加え花粉照射も行っている。
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Genome 掲載確定(In press)
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http://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/PLSL/index.html