研究課題
植物性染色体の出現は極めて新しい。その起源を探るため、マンテマ属を異種交配し染色体構造が複二倍体化した雌性両全異株を作出し、重イオンビームを照射することで染色体異常と雌性不稔を同時に誘起させ、非組換え領域をもった擬似的性染色体が出現するかどうかを調査することをめざしている。平成20年度は最終年度に当たるが、具体的には以下の課題を実施し当初の目的をほぼ達成した。<1>BAC-FISHとマルチカラー競合FISHで、マンテマ属の個々の染色体を識別できるようなBAC-FISHプローブが単離できた。<2>異種交配による雌性両全異株の作出に関しては、S. latifolia x S. conicaとs. latifolia x S. viscocaの有望株を選抜して核型解析をしているところである。<3>20年度から、重イオンビームに加えγ線照射による雌雄異株の突然変異体の作出が可能となっている。(1)重イオンビーム照射条件を検討し、植物の染色体に最大の影響を与える条件を決め、致死率、生存した個体の核型、PCRマーカーを用いたDNA損傷部位の解析が可能となった。(2)異種交配で作出した雌雄両全株や三性株に、重イオンビームを照射することで、変異体誘発によって雌雄異株化が促進されるかを調査した。(3)重イオンビーム照射で得られた雌雄異株の核型解析し、野生型株の核型解析結果と比較検討することで、減数分裂期に各染色体の対合の有無を減数分裂期の二価染色体を確かめた。(4)野生株と雌性両全異株へのγ線照射することで、重イオンビームよりより強いDNA損傷能を与えた場合の効果を調査した。(5)γ線照射で得られた雌雄異株突然変異体の核型解析を、誘導された雌雄異株に限らず変異を起こした雌性両全異株の減数分裂期の二価染色体の挙動に注目して、染色体異常と異型染色体の出現頻度を解析した。
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