研究概要 |
本研究の目的は,顕花植物の有性繁殖器官である「花」を,従来とは異なった視点,つまり,花粉媒介者(送粉昆虫)の行動をコントロールする「信号装置」として捉え,「花」の花粉媒介者誘引機能の実態を明らかにすることである。 そのため,平成18年度は,「花」に飛来する花粉媒介者である送粉昆虫の「花着地前」の飛行行動を記録するハイビジョンカメラ2台(主たる設備備品)を購入し,撮影テストを幾度も行った。撮影対象は,マメ科のアレチヌスビトハギの花を訪れるツルガハキリバチである。また,機材の有効性を確認するために,岐阜市近郊の山地において多くの植物の訪花昆虫の行動を記録した。そして,記録画像をコンピュータで3次元的に解析する手法も確立しつつある。 その結果,(1)花に接近する昆虫の飛行軌跡を、2台のデジタルビデオカメラによって詳細に録画できた。(2)記録された映像をコンピュータに取り込み、1/30秒ごと、カメラ映像ごとに、昆虫の飛行軌跡をトレースできた。3)トレースデータをコンピュータによって補正する手法が確立でき,具体的なxyz座標データの把握が出来るようになった。 また,今年度の模索で記録できた,様々な花に飛行接近する昆虫たちの行動は,スローモーションに編集し,動画データベースとしてインターネットのWebページとして公開した。公開サイトのタイトルは「Flower Visitors ; Pollinators' Flights」としてアドレスは以下である。 http://www1.gifu-u.ac.jp/kawakubo//FlowerVisitors/FlowerVisitorsMenu.html 公開直後から,全世界からアクセスを受け,好評である。
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