研究課題
シロイヌナズナのロゼット葉から生理活性を保った孔辺細胞プロトプラスト(GCPs)を単離する手法を確立した。ビオチン化アブシジン酸(bioABA)は気孔閉鎖を誘導し、ABA様の生理作用を示した。bioABAと蛍光標識アビジンを処理したGCPsを蛍光顕微鏡で観察したところ、細胞表層にbioABAの結合部位が見られた。共焦点レーザー顕微鏡でGCPsの断層像を撮影した結果、このABA受容部位は細胞膜上に不均一に存在していた。GCPsで観察された蛍光量をフローサイトメーターで定量した結果、その量はbioABA添加により増加し、ABAの同時添加により濃度依存的に減少した。これらの結果はbioABAが細胞膜上のABA受容部位に特異的に結合することを示唆している。また、GCPsをプロテアーゼ処理するとABAの作用が阻害され、bioABAのGCPsへの結合が抑制されたことから、細胞外のABAが細胞表層のタンパク質で受容されると考えられる。本実験系は、ABA受容体の同定や性質の解析に有効な手法として期待される。bioABAを用いたファージディスプレイ法によるABA結合タンパク質の探索を試みた。最大12アミノ酸から構成されるランダムペプチドをコードするcDNAが組み込まれたファージライブラリーを用いて、bioABA結合ペプチドを探索した。ファージをスクリーニングした結果、bioABAと結合する可能性のあるペプチド配列を得た。シロイヌナズナから類似配列をコードする遺伝子を検索した結果、ブラシノステロイド受容体であるBRI1やABA受容体候補であるRPK1と同じファミリーに属するロイシンリッチリピート型受容体キナーゼをコードする遺伝子を得た。さらにシロイヌナズナ由来のファージディスプレイライブラリーを作成し、bioABA結合ペプチドの探索を続けている。
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