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2006 年度 実績報告書

無脊椎動物の行動制御における「手続き」的脳内表示とその感覚種依存性

研究課題

研究課題/領域番号 18657025
研究機関北海道大学

研究代表者

高畑 雅一  北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (10111147)

キーワード甲殻類 / アメリカザリガニ / 手続き的脳内表示 / 自発的行動 / 歩行運動 / 前大脳 / 中心体複合体 / 下行性介在ニューロン
研究概要

言葉やイメージに媒介される「宣言的」な脳内表示はヒトに限定されるものではなく、他の哺乳類においても実験的に検証されている。しかし、無脊椎動物の行動に関する脳内表示においては、<Morganの公準>に従ってまず「手続き的」脳内表示を想定してかかるのが妥当であろう。
本研究で取り上げる甲殻類の自発的な歩行運動の場合、「歩行」というイメージが甲殻類脳内に表示されると仮定するよりは、まず、「歩行」についての運動手順が脳内に表示されると仮定しなければならない。ここで問題となるのは、自発的に開始される歩行運動の場合、その<自発性>がどのような形で脳内に表示されるかである。
本年度は、この問題を解決する目的で、アメリカザリガニProcambarus clarkiiの無麻酔全体標本をトレッドミル上で歩かせ、その時の脳内ニューロン活動を細胞内誘導して解析するとともに、実験終了後に蛍光色素ルシファー・イェロウを細胞内注入してそのニューロン樹状突起の脳内投射部位を調査した。その結果、自発的な歩行の開始に1秒以上先行して持続的なシナプス入力を受け活動電位を発生する下行性介在ニューロンを多数発見した。接触など機械刺激によって誘発される歩行の場合は、先行活動はほとんど見られなかった。これら歩行先行型ニューロンはいずれも樹状突起を前大脳橋(protocerebral bridge)ならびに中心体複合体(central body complex)など前大脳に投射する点で共通していた。
これらの実験結果は、甲殻類が自発的に移動行動locomotor behaviorを開始する場合、脳内では外見的な行動の開始に先だってシナプス活動が生じていることを証明しており、<自発性>は前大脳に限局される神経活動として表示される可能性を示唆している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Physiological changes of premotor nonspiking interneurons in the central compensation of eyestalk posture following unilateral sensory ablation in crayfish2007

    • 著者名/発表者名
      K.Fujisawa
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Physiology 193

      ページ: 127-140

  • [雑誌論文] Gaseous neuromodulator-related genes expressed in the brain of honeybee Apis mellifera2007

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe
    • 雑誌名

      Developmental Neurobiology 67

      ページ: 456-473

  • [雑誌論文] Functional Significance of passive and active dendritic properties in the synaptic integration by an identified nonspiking interneuron of crayfish2006

    • 著者名/発表者名
      A.Takashima
    • 雑誌名

      Journal of Neurophysiology 96

      ページ: 3157-3169

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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