研究課題/領域番号 |
18657032
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
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研究分担者 |
所 雅彦 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, チーム長 (70343796)
北島 博 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (70353662)
濱口 京子 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (60343795)
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キーワード | 菌類 / 芳香性化合物 / 節足動物 / Ophiostoma / Charala / 相互作用 |
研究概要 |
本年度は鳥取県大山、岩手県安比高原、茨城県小川にブナ丸太を設置し、木口面の菌を分離した。また、鳥取県については来訪昆虫の調査も合わせて行った。来訪昆虫調査はスクリーントラップをブナ丸太付近、および離れた場所にそれぞれ3器ずつ設置し、ブナ木口に特異的に集まる昆虫を推測したが、トラップの場所による明確な違いは見られなかった。種類相は現在同定作業中である。野外観察でケシキスイ類が木口面に生育している糸状菌のコロニー上で活動していたことから、なんらかの関係が想定された。一方、木口面の菌として複数の糸状菌が分離されたが、特に高頻度に分離されたのはOphiostoma quercusであった。また、形態的に類似する(Ophiostoma sp.も高頻度であった。これらはいずれの調査地においても優占的に分離された。これらの種は著しい芳香は産生しなかったが、アルコール臭があることから、ある種の節足動物を誘引する能力は十分あると考えられた。また、Ceratocystiopsis alba、Charala sp.が著しい芳香を有する種類として検出された。特にCharala sp.は全ての調査地の丸太から検出できた。これらの糸状菌の産生する芳香性物質は非常に様々であったが、主成分としてテルペン類が多く検出された。特に、シトロネロールやゲラニオールなど、柑橘類をはじめとする果実の匂い成分と類似の成分が含まれていた。誘引される節足動物に関する調査は若干遅れているが、果実等に集まる節足動物がこれらの糸状菌の成育している場所に誘引されている可能性がある。
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