平成18年度に行った脱ユビキチン化酵素UBPYの網羅的な基質同定の解析により、基質候補蛋白質が多数同定された。これらのうちからUBPYと細胞内局在が一致する蛋白質の1つであるVAMP8を選び、実際にUBPYの基質であるかについて検討した。VAMP8をHeLa細胞に発現して解析したところ、VAMP8がユビキチン化を受けることがわかった。このユビキチン化レベルは、野生型UBPYの発現により減少し、酵素不活性型UBPYで増加した。またこのレベルはRNAi法を用いたUBPYのノックダウンにより増加した。これらの結果は、VAMP8が実際にUBPYの基質であることを示している。したがって網羅的なUBPYの基質同定法で同定された基質候補のうち少なくとも1つは実際に基質となっていることが明らかになった。今後は他の候補蛋白質についても解析し、網羅的な基質同定法が有効であるかをさらに検証していく必要がある。 平成18年度に行った脱ユビキチン化酵素の網羅的な基質同定法が有効である可能性が高くなったので、この方法を他の脱ユビキチン化酵素USP36に応用した。その結果、360個の基質候補蛋白質が同定された。USP36の細胞内局在について解析したところ、USP36は核小体に局在した。したがってUSP36は核小体において脱ユビキチン化酵素として機能すると考えられることから、360個の候補蛋白質について核小体に局在するものを検索した。その結果、リボソーム蛋白質を含む60個の蛋白質が同定された。今後はこれらが実際にUSP36の基質であるかについて検証して行く必要がある。
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