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2006 年度 実績報告書

電子波動関数から探る蛋白質の立体構造構築原理と機能予測

研究課題

研究課題/領域番号 18657047
研究機関東京工業大学

研究代表者

櫻井 実  東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 教授 (50162342)

キーワード蛋白質 / 分子軌道 / 波動関数 / 立体構造 / 蛋白質機能 / フロンティア軌道 / 酵素 / 水和
研究概要

本研究では、量子化学計算から蛋白質の構造構築原理と機能予測法を探索することを目的としている。そこでまず、冗長性が無いように選択された112個の構造既知・機能既知の酵素に対し半経験的分子軌道計算を実行した。得られた電子波動関数をD値パラメータにより分類・解析した。ここで、D値パラメータは軌道の空間的な広がりを表わす尺度である。その結果、蛋白質の電子波動関数は、狭い領域に局在化している軌道群(グループA)、分子全体に広がった軌道群(グループB)、中程度に広がった分布を持つ軌道群(グループC)に分類された。グループAは、エネルギー的にHOMO-LUMOギャップ近傍に存在し、蛋白質の化学反応に関与すると推測された。グループBは主としてアミノ酸残基間の空間を介した相互作用により、分子全体に拡がっており、蛋白質の3次構造の安定化に寄与していると推測された。それに対し、グループCは、共有結合に沿って形成されている軌道であり、蛋白質の骨格構造の形成に寄与していると考えられた。したがって、機能部位予測という観点からは、グループAが重要と考えられ、これらの軌道の空間的局在と各酵素の活性部位の局在との相関を詳細に調べた。その結果、グループAの中でも特にHOMO,LUMOに近い軌道は非機能部位に比べて機能部位に局在化する傾向が大きいことが判明した。ただし、重要なことは、このようなフロンティア軌道と機能部位の間の共局在化は、酵素が水和しているときのみに顕著に見られたことである。また、このような共局在化は、Glu/Asp、HisあるいはCys上に活性部位がある場合について顕著であった。以上の結果に基づいて、機能部位探索のためのプロトコールを提案し実例を示した。以上を総合し、フロンティア軌道の探索によるab inito機能部位予測法を提案した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Accurate evaluation of the absorption maxima of retinal proteins based on a hybrid QM/MM method2006

    • 著者名/発表者名
      A.Matsuura, H.Sato, H.Houjou, S.Saito, T.Hayashi, M.Sakurai
    • 雑誌名

      J. Comput. Chem. 27

      ページ: 1623-1630

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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