研究課題/領域番号 |
18657049
|
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
中西 守 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (90090472)
|
研究分担者 |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (80254308)
|
キーワード | 遺伝子導入 / 正電荷リポソーム / ナノバイオデリバリー / ベクター / 遺伝子治療 / バイオサーファクタント / ES細胞 / 再生医療 |
研究概要 |
生体への安全で効率的な遺伝子製剤によるナノデリバリーシステムの開発は、遺伝子治療や再生医療の基盤となる重要な研究課題である。本研究では正電荷コレステロール誘導体を素材とした非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発・推進とナノデリバリーシステムの独創的な構築を行った。非ウイルスベクターとしてコレステロール骨格の側鎖末端に水酸基を持つ誘導体を開発し、また、これら非ウイルスベクターに微生物が産生する界面活性物質(バイオサーファクタント; MEL-A)を包摂させると遺伝子導入効率が顕著に増大することを明らかにした。また、レーザ顕微光学技術を駆使して、標的細胞への遺伝子導入の分子メカニズムを追究した。その結果、バイオサーファクタント包摂正電荷リポソームは、標的細胞の形質膜(細胞膜)との膜融合を促進させ、細胞質内に移行後はバイオサーファクタント(MEL-A)が細胞内膜系との膜融合を促進させつつ、効率のよく、遺伝子を核内に輸送することを分子イメージング法により解明した。この新技術は安全性が高く、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕しており、ナノバイオ医療の推進につながると判断された。また、本技術はin vivoでも効率的なナノ遺伝子ベクターであることを明らかにした。さらに、再生医療の基盤技術と結びつけるため、ES細胞を神経細部へ特異的に分化誘導にする手法の開発を行った。そして、テトラサイクリンの存在下で、ES細胞の転写活性をスイッチングするTet-on systemの開発に成功し、マウスES細胞を効率よく神経細部へ分化する技術を確立した。この新技術とバイオサーファクタント(MEL-A)包摂非ウイルスベクターによる遺伝子導入技術とを組み合わせて、先端医療(遺伝子治療、再生医療)ヘナノ遺伝子ベクター法の展開に成功した。
|