研究課題
本研究では、ポリADPリボシル(PAR)化修飾が分裂期スピンドルの制御における重要性を明らかにすることを目的とした。先ず、PAR化修飾特異的な抗体を用いたウエスタンブロットによりPAR修飾を受けたタンパク質をスメア状に検出することに成功し、このPARスメアが分裂期では間期と比し約8倍に上昇することを見出した。この抗体を用いて細胞染色を行うと、紡錘体極、紡錘体、動原体が特異的に染色され、分裂装置にPAR化修飾を受けるタンパク質が分布することが示唆された。次いで、分裂期PAR修飾を触媒するPARPを明らかにするために、候補となるPARP酵素に対してRNAiをおこない、PAR化タンパク質の変化を検討した。その結果、TankyraseというPARPをノックダウンすると分裂期微小管の動態に異常を来すことが判明した。つまり、Tankyraseのノックダウンした細胞では、紡錘体の形態が崩れ、正常に機能できないため、染色体は両方構成を獲得しないまま分裂期に停滞する。興味深いことに、Tankyraseのノックダウン細胞におけるPAR化修飾の変化を調べたところPAR化修飾の総量には大きな変化は見られず、紡錘体極と紡錘体のPAR化修飾は観察できたものの、動原体のそれは有意に低下していた。このことより、Tankyraseが動原体のタンパク質のPAR化修飾を特異的に触媒し、動原体の機能、ひいては紡錘体の機能に重要な役割を担っている可能性があると考えられ、現在、動原体におけるPAR化基質の同定を試みている。また不思議なことに、Tankyraseのノックダウン細胞では姉妹染色分体の早期分離を起こすが、紡錘体チェックポイントとコヒーシンの解離との関連性についても詳細に調べている。
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http://www.jfcr.or.jp/tci/exppathol/index.html