予備実験は7/20〜31の12日間行った。餌場に通ってくれる働きバチの日齢を知るためには、あらかじめ羽化したての個体にマーク(背番号を貼る)をしなければならないので、6/23〜7/16までマーキングを行った。観察巣箱で数百匹の背番号つきの働きバチを飼養し、予定した観察期間の間に場通いをさせようとしたが、働きバチたちはまったく餌場に通ってくれなかった。今までも餌場通いの実験を花の多い春から初夏に何度か行ってきて、うまく通ってくれないことを経験しているが、まったく通ってくれないのは初めてだった。原因としては、一番日齢の多い個体が30日に満たず、ほとんどはそれより若い個体にあるように思われる。 メインの実験は10/27〜11/9の14日間行った(マークは9/26〜10/26)。このときも老齢な個体を準備できず、やはり餌場通いが十分でなかった。それでも1匹の個体を巣門からごく近い餌場に導くことができたが、5mまで通わせたところで、巣門のそばで待ち構えていたコカマキリに捕食されるというアクシデントに会い、データ採取はそこまでであった。 しかし、コカマキリ捕食された個体は、餌場の薄め蜂蜜よりも餌場近くの「水溜り」の水をよく集めたので、花蜜採集とはまた違う側面を考察するきっかけとなった。「水」は「花蜜」ほど特定性がないので、近くなら「近隣に存在する」という情報の円ダンスでいいはずだが、円ダンスには留まらず、すぐに「移行型ダンス」になってしまった。 凧糸を利用した匂いの道づくりは、7月の実験時にいろいろ準備して試みてみたが、匂いを常に供給することは容易でないことがわかった。 次年度へ向けての反省に基づく変更点は、(1)マーク期間をもっと多く取って経験豊かな「老蜂」を多数に準備すること。(2)凧糸を利用した匂いの道づくりは保留しておく、(3)観察巣箱は垂直面を水平面にする仕組みを以前につくっておいたので、その仕組みを利用して方向の情報をなくしてみる。
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