研究概要 |
1.マウスC57BL/6 strainを用いた寒冷刺激によって変動する遺伝子群の解析 Suppression Subtractive Hybridization法によって、寒冷条件下で発現し,正常な状態(寒冷ストレスのない22度C飼育環境下)では発現しないmRNAを検定しcDNAとしてシークエンスした。実績があり、信頼性の高いInvitrogen社とClontech社の製品を用い、プロトコールに基づいて行った。具体的にはPCR-Select cDNA Subtraction法であるため、わずかな発現の差も検出可能であるが、偽陽性の確率も高まる。そのため、実験は3回行って寒冷刺激を与えたマウスでのみ、コントロールとハイブリダイズせず発現が増強しているものを選択し、56クローンが得られた。この中で、あきらかに偽陽性と考えられる遺伝子を除き、40クローンが侯補となった。現在報告されている、明らかな機能につなげられるシグナル伝達系に属するグループに分けることはできなかった。 2.マウスBalbC strainを用いて上記1と同様の実験を行った。 結果は候補として30クローンの遺伝子が得られたが、C57BL/6 strainとはかなり異なる結果であった。 3.今回の研究結果について 実際はヒトにおける寒冷刺激によってうごく遺伝子があるのかどうか、生理的多型性というものが、遺伝子的レベルでも示唆できるかどうかが今回の萌芽研究の目的である。今後ヒトから採血して、genomic DNAを抽出し、アフィメトリックス社などのDNAアレイキットを用いて、寒冷ストレスに関係するSingle Nucleotide Polymorphism(SNP)を行い、その解析と解釈に今回のマウスのデータを有効に用いることができると考えている。
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