最近、妊産婦の環境は大きく変化し、妊婦の「つわり」症状は10年前に比べて悪くなっている。本研究では、妊婦の「つわり」症状に与える身体的、心理的環境の要因をストレスとして調査を行った。 対象妊婦は102名で29歳までが47%、30〜34歳が33%で35歳以上が20%であった。 調査内容は、妊婦の「つわり」症状に影響を与えるストレス要因として1.環境「就業、家事状況、色彩、臭い、照明等生活状況」、2.人間関係、3.身体状況「出産前の身体状況」、4.心理状況など104項目および食事関係124項目について作成した。個別面接し、記入式アンケート調査を行った。 結果: 妊産婦は妊娠特有のストレスを感じていることがわかった。 「つわり」症状としては嘔吐、食べ物への嫌悪感、嗜好の変化、いらいら、憂鬱感、眠気、胃のもたれ、頭痛、疲れやすいなどであった。これらの症状は気分調査結果では、「活気」に逆相関が認められた。「つわり」症状因子「人間関係」、「環境」で特に関係するのは職場、家事、経済などの生活環境、友人、家族、医者などの人間関係であり、「出産の理解者数」、「相談相手の数」「経済状況」に相関があった。「心理状況」の要因の中で特に関係が深いのは「出産の不安」「出産願望」であった。「出産への不安」は初産、経産に関らず存在し、また、「出産願望」は周囲の期待が大きいほど、または、流産経験があるほど強く、相関が認められた。「身体状況」では母子の「つわり」症状の相関は認められなかったが、「ダイエット」の経験の有無とは相関が認められた。2006年9月The 8th International Congress of Physiological Anthropologyに於いて本調査の一部「Factors Influencing Symptoms in morning sickness」の発表を行った。
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