1.Puccinellia tenuifloraおよびChloris virgataの幼植物の水耕液に100mMの炭酸水素ナトリウムを加え1日ストレス処理を行った。また、イネ(品種:日本晴)の幼植物体を、50mMの炭酸水素ナトリウムを含む水耕液で1日培養することによるストレス処理を行った。 2.ストレス処理を行ったPuccinellia tenuiflora、Chloris virgataおよびイネの幼植物体、対象に用いるストレス未処理の幼植物体をサンプリングし、サンプルからtotal RNAを抽出した。total RNAを鋳型として、cDNAの合成、Cy3またはCy5による蛍光ラベリングを行った。イネの22000遺伝子がスポットされたマイクロアレイ(横河アナリティカルシステム)とラベリングしたcDNAとをハイブリダイゼーションさせ、ハイブリダイゼーション後のシグナルをマイクロアレイスキャナで検出した。得られたデータをアイクロアレイデータ解析ソフトを用いて解析して、比較する材料問での遺伝子発現の差について明らかにした。それらのうち数種類の遺伝子についてはRT-PCRによって発現特性の確認を行った。 3.植物体へのナトリウムの流入経路と考えられているカリウムトランスポーター遺伝子(PutHKT)、細胞外へのナトリウムの排出および液砲へのナトリウム隔離に関与するナトリウム/プロトンアンチポーター遺伝子(PutNHA、PutNHX)をPuccinellia tenuifloraから単離した。PutNHAおよびPutNHXを高発現する酵母において、耐塩性が向上する事を明らかにした。また、活性酸素の除去機構に関わるmetallothionein遺伝子(ChMT1)をOhloris virgataから単離した。ChMT1を高発現する酵母において活性酸素除去能力が向上し、それに伴い耐塩性、酸化ストレス耐性が向上する事、その効果はイネの遺伝子(OsMT1)よりも高い事を明らかにした。
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