研究課題/領域番号 |
18658007
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
荒木 英樹 山口大学, 農学部, 助手 (90346578)
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研究分担者 |
辻 渉 鳥取大学, 乾燥地研究センター, COE研究員 (60423258)
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キーワード | 気孔閉鎖 / 水圧シグナル / 化学シグナル / 導管 / 水ポテンシャル / ルートプレッシャーチャンバー / 通導コンダクタンス |
研究概要 |
1.導管部の圧力と気孔閉鎖との関連性についての検証(荒木・辻) 本年度の課題では、微弱な負圧がシグナルとして作用し得るかどうかを検証するために、化学シグナル様の気孔閉鎖を示す植物において、負圧シグナルを消失させることによって気孔閉鎖が解消されるか否かを検証する。 植物の導管部の負力を解消する装置として、根系加圧容器(ルートプレッシャーチャンバ)を改良した。本根系加圧容器を用いた予備的な試験では、インタクトな状態で育てた植物体(ササゲ、ダイズ、キュウリ)の根系に損傷を加えることなく加圧することが可能で、先端葉につけた小さな傷から出液が認められた。このことから、植物体に過度の損傷を与えることなく、根系加圧により導管内の負圧が解消されていると判断できる。数度のポット試験によって、軽度な乾燥ストレスと湛水ストレスでは、ダイズやササゲは、葉身の水ポテンシャルは低下していないが気孔が閉鎖している状態(以下、化学シグナル様の気孔閉鎖と称す)となることを確認した。また、いずれの条件下でも、根系加圧を行うことによって気孔は再び開くことから、気孔閉鎖の主要因が水欠乏や化学シグナルではないと判断された。今後の試験では、加圧前後における葉細胞の膨圧変化に関する解析を進めていく。 2.植物組織の乾燥とキャビテーション発生程度の定量化(荒木) わずかなキャビテーションの発生を求めるため、高精度の圧力センサーを組み込んだ高圧流速測定装置を改良した。その装置を用いて通導性損失率を求めた場合、組織が柔軟な作物では同処理区内でも大きな変動が認められたため、今後、コネクタ等の改良がさらに必要である。今後、植物組織の水ポテンシャルと通導機能損失率との相関関係を、作物種毎にデータ化する予定である。
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