研究課題/領域番号 |
18658014
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
松井 紫朗 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (60275188)
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研究分担者 |
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (40141501)
谷垣 文章 宇宙航空研究開発機構, 宇宙環境利用センター, 主任 (80399550)
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (30232523)
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キーワード | 国際宇宙ステーション / 植物 |
研究概要 |
平成18年度は、宇宙庭園の実現の為のデータ・ベースの構築と実験の方向性の検討が目標であったが、8月に、閉鎖環境での植物育成技術、微小重力環境での植物生態に関する研究で先行している大阪府立大学の村瀬治比古、北宅善昭両教授を招き「宇宙庭研究会」を持った。そこで得られた新たな知見は以下の通りである。 ・重力方向が逆の場合でも、光によって、植物の成長方向を制御でき、正常に育成できることが示されているが、閉鎖環境、微小重力下での対流の抑制により、成長にはさまざまな障害が予想される。まず、葉面でのCO2交換、空気対流抑制による光合成抑制が引き起こされる。熱およびガス交換の観点から、気流制御による対流促進は不可欠である。また、閉鎖環境では、さまざまな微量有害ガスが発生する。とくにエチレンは植物成長調節物質であり、植物自らが発生源となる。微量有害ガスの除去システムが不可欠となる。 ・「きぼう」の運用開始にあわせて、打ち上げ物品の搭載計画が2007年から始まる。噴霧耕に必要な育成支援器具に関してはボリュームの制限が考えられ、スペースを確保するには実験方法の具体化が急がれる。速やかなISSでの実現をめざすという点において、噴霧耕そのままでは、植物育成支援器具のボリューム、器具の安全確認の為の試験にかかる時間という観点から限界がある。 以上、研究会の結果を受け、新たにHymec(ハイメック)という新素材を利用する育成方法を採用することとした。ハイメックは溶液と植物を特殊なフィルム「ハイドロメンブラン」で隔離して栽培するシステムであり、これが溶液から水と栄養分のみを吸収し植物の根に直接供給して植物を生育させる。水耕のような厳密な制御システムの必要が無く、しかも噴霧耕と同様、培地部分を閉鎖するので、閉鎖空間を汚染しない。平成19年度は、引き続きこれによる実験を行い、育成技術の確立をめざす。
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