植物フェントン反応によりアトラジン等が分解・消去できるかどうかを研究した。結果の要点は、以下の通りであった。 1.キク科やゴマでH_2O_2が検出できたが、イネ科やキュウリでは検出されなかった。 2.イネ科以外のほとんどの植物は、鉄欠乏状態で高い鉄還元能を示し、マリーゴールドで最も強く、次いでアメリカセンダングサ、シュンギク、キンセンカ、タウコギ、ゴマ、ゴボウ、キュウリ、ベニバナ、イネ、ヒマワリ、ダイズ、コムギ、トウモロコシの順であった。 3.in vitro実験では、Fe(II)とH_2O_2によりフェントン反応が起こり、アトラジンが分解されたが、その程度はFeとH_2O_2濃度に依存した。 4.鉄欠乏・完全前培養処理タウコギ、完全前培養マリーゴールドに第一鉄添加区で、アトラジンの有意な分解が認められた、また、完全前培養処理シュンギクやキンセンカでは、分解する傾向が認められた。 5.ピコリン酸、クエン酸、NTA、腐植酸のFe(III)錯体を用いたin vitroフェントン反応で、アトラジンの分解が確認された。 6.鉄欠乏前培養処理タウコギ、マリーゴールド、キンセンカ、完全前培養処理シュンギクにピコリン酸-Fe(III)を用いた時にも、アトラジンの分解する傾向が認められた。 7.アトラジン分解産物として、より低毒性のプロパジンが検出された。 以上の結果から、タウコギやマリーホールドが根フェントン反応でアトラジンを分解できること、適当な3価鉄キレートを使用することで、畑土壌でのフェントン反応が可能であることを、初めて明らかにした。また、リグニンや芳香族有害化合物では、根フェントン反応での重合反応によって沈殿消去できることも示唆された。
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