研究課題
リパーゼ・スーパーインデューサー作用機構の解明と有用蛋白質大量生産システムの構築の為の第1段階として、平成19年度は以下の研究結果を得た。1.高級アルコール等のリパーゼ・スーパーインデューサーで超誘導される熱安定リパーゼに関しては、昨年度の熱安定化に関与するアミノ酸残基の同定作業を引き続き実施するとともに、組換え大腸菌でのリパーゼ生産量を約20倍増加させることに成功した。また、未分泌性のラクトン特異的エステラーゼを、進化分子工学的手法により、野生型エステラーゼより12〜13℃安定なエステラーゼの創製に成功したことにより、リパーゼ・スーパーインデューサーを超誘導剤とした有用蛋白質生産システムの、昨年度より優秀な対象材料を確保できた。2.リパーゼ・スーパーインデューサーの添加により、リパーゼとともに大量に分泌される機能未知の15kDa蛋白質(昨年度、N-末端アミノ酸配列を決定した結果、長鎖炭化水素の分解促進作用システムに関係すると推定される蛋白質群の遺伝子クラスター中の機能未知遺伝子から推定した遺伝子産物のアミノ酸配列と高い相同性があった)には長鎖アルカンや脂質を乳化する作用が見出されたことから、界面活性タンパク質であることが判明した。このことにより、バクテリアにおける多様な脂質資化システムのメ.タボロミクス研究が可能になった。酸素供給量を制限した揚合に菌体外に大量分泌される機能未知の17kDa蛋白質との関連性については、17kDa蛋白質が15kDa蛋白質の前駆体であることが強く示唆された。リパーゼ・スーパーインデューサーによるリパーゼと界面活性タンパク質の共分泌および誘導機構の詳細な解明により、有用蛋白質の大量分泌システム(コンビナトリアルシステム)確立の糸口となることが期待できる。
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