研究概要 |
本研究は外来性の2種のタンパク質のジベレリン(GA,植物ホルモンの一種)依存的な会合を利用して,生きた植物におけるジベレリンの可視化を通して,その局在性を明らかにする技術の開発を目的としている。本年度は抗活性型GA抗体8/E9の可変領域VH,VLのGA依存的会合をProtein fragment complementation assay (PCA)への適用,および8/E9抗体にGA依存的に結合する新たな抗体のスクリーニングを試みた。 1.8/E9のVH,VLについてはGA依存的な会合が認められ,GFPを用いたPCA系においても,大腸菌内での会合のGA依存性は確認されたが,検出感度の点で満足のいくものではなかった。そこで,VH,VLおよびGFPのN末端領域,C末端領域の融合法に関して,その組み合わせや融合順序の改変を行い,より検出感度が高い系を得ることが出来た。 2.GAと結合した8/E9抗体を認識する抗体(抗メタタイプ抗体)を得るべく,8/E9を用いてファージ提示型の抗体ライブラリーをスクリーニングした。その結果,GA非依存的に結合する抗体や非特異的に親和性を示す抗体が多く存在し,GA依存的に親和性を示す抗体は得られなかった。そこで,抗体に対してGAのミミックとして結合するペプチドを取得したという経験をもとに,GA依存的に8/E9抗体に結合するペプチドをファージ提示型ライブラリーからスクリーニングした結果,12アミノ酸ペプチドから独立した2種類のペプチドが得られた。これらのペプチドの8/E9との結合はGA4依存的であり,同様に8/E9に認識されるGA1によっては結合の誘導は見られないことから,高度にGA分子構造を認識する系に発展する可能性が期待される。現在,結合に寄与するペプチド配列について精査するとともに,Protein fragment complementation assayへの適用性を検討中である。
|