(1)HNDマウスの近交化の完了(系統確立)と、その糖尿病の成因の解析 HNDマウスの耐糖能異常を示す個体同士の兄妹交配を継続し、F16世代からF18世代に達することができた。次年度にF20世代まで進めることにより、近交系統として確立する。HNDマウスの雄は非肥満で、12週齢で80%の個体が耐糖能異常を呈する。HNDマウスはグルコース刺激に対するインスリン分泌に障害があり、この分泌不全は膵臓ランゲルハンス氏島(ラ氏島)β細胞上のα2-adrenergic receptor(α2AR)を介したアドレナリン作用亢進によるものであることが示唆された。これらの結果、HNDマウスは神経性インスリン分泌不全を主因の一つとする2型糖尿病自然発症マウスと考えられた。 (2)HNDマウスのα2-AR遺伝子ORF塩基配列およびmRNAレベルのB6との比較 HNDマウスのグルコース刺激性インスリン分泌不全の原因遺伝子としてα2AR遺伝子を想定し、このORFの塩基配列をB6と比較したところ、両系統に違いは観察されなかった。次年度に、膵ランゲルハンス氏島でのα2AR mRNAレベルを両系統間で比較する。
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