研究概要 |
1 マダケ属モウハイチクPhyllostachys meyeriの花成促進遺伝子ホモログPmFTの全4コピーをクローニングし、塩基配列を決定し、95%以上の相同性を有する550塩基の断片をマーカーとしたイネ科27分類群の系統類縁関係を解析し、進化傾向を検討した結果、この遺伝子が小穂耕造に関わり、連の分類単位の識別に有効であること、これまで帰属をめぐり論争のあったStreptogyna連の亜科への昇格の可能性を示唆した。この結果は8月にコペンハーゲン大学で開催されたMonocots IV第4回単子葉植物の比較生物学/第5回イネ科植物の分類と進化国際シンポジウムにおいて口頭発表し、日本植物学会欧文誌に表紙写真付きで掲載された。 2 モウハイチクおよびオカメザサ属トウオカメザサShibataea chinensisのそれぞれの一斉開花過程におけるPmFTおよび花成抑制遺伝子PmCENの発現パターンをリアルタイムRT-PCR法で解析し、両種ともにPmFTは一斉開花桿の葉で最も高く、再生竹の花序ではPmCENがより高く、実生や幼若個体ではPmCENのみが高く発現し、タケ類の一斉開花過程において、モデル植物で解明されたのと同様な花成遺伝子発現の制御機構の介在を示唆した。また、トウオカメザサの一斉開花過程と花序の形態を記載した。 3 リョクチクBambusa oldhamiより単離したタケモザイクウイルスBaMVの全6,365塩基の配列を決定し、ベクター化に必要な完全長cDNAクローンを構築中である。 4 花成遺伝子群の未開花個体への導入による発現系とサイレンシング系の基礎実験に必要なタケ類の葉からのプロトプラストの調整法ヲ確立した。
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