宮崎大学演習林の照葉樹林および九州大学演習林(椎葉)の夏緑樹林に試験地を設定し、常緑カシ3種(アラカシ、イチイガシ、ハナガガシ)および落葉広葉樹2種(ミズナラ、ミズメ)について、イズ・生育環境(被陰状態)の異なる個体をそれぞれ複数選定し、5-6月に幹の地上部50cm程度を残して伐採した。 伐採した幹の木部表面に現れる潜伏芽の分布および伐採後1生育期間内に発生した萌芽量を調査し、以下の結果を得た。 1.常緑カシ類では、アラカシで潜伏芽の残存数が多く、イチイガシで少なかった。ハナガガシでは前2種の中間的な残存数であり、個体差が多かった。被陰の効果はアラカシで最も明瞭に見られた。 2.常緑カシ3種の萌芽性の違いは、潜伏芽の残存数と明瞭な相関関係が認められた。 3.落葉樹2種では、ミズメの潜伏芽残存数がミズナラに比較して著しく低く、種内での環境変異は種間差に比べて小さかった。萌芽性は潜伏芽数と明瞭な対応を示した。 以上の結果から、潜伏芽の初期の形成数およびその後の残存率が萌芽性を大きく規定する可能性が示唆された。
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