研究課題/領域番号 |
18658066
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
佐橋 憲生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 室長 (10202102)
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研究分担者 |
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
宮崎 和弘 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (00353871)
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (50343801)
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キーワード | 樹木病原菌 / 絹皮病 / 鳥類 / ヒヨドリ / 伝搬 |
研究概要 |
絹皮病菌の伝搬様式を解明するために、斜面上に発生している本病を採集し、菌株を樹立することによって、クローンの異同を調査した。すなわち、熊本県菊地渓谷沿いの斜面上に設定した4本のラインに沿って、絹皮病に罹病している樹木を探索し、位置を特定するとともに、本病罹病枝を採集し、それらから合計48菌株を樹立した。クローンを識別するために分離・収集した菌株を用いて、ラインごとに総当たりで対峙培養を行った。菌そうの接触面で明瞭な帯線を形成しなかった菌株は同じMycelial Compatibility Group(MCG)に属するものと判断し、同一のクローンと見なした。以前に行った水平方向の伝搬では、近接した罹病木から採取した2菌株、渓流を挟んで採取した2菌株の計2例を除き、ほとんどの菌株が明瞭な帯線を形成し、別クローンと判断された。しかしながら、斜面上から分離された菌株の中には同一のクローンであるものが比較的高頻度で認められた。従って、水平方向への伝搬は主として担子胞子の飛散によっておこると考えられるが、斜面上では担子胞子の飛散による伝搬にくわえ、罹病枝などが風などで折れて、物理的に斜面上部から下部へ移動することにより、離れた健全木に接触することでクローナルに伝搬している割合が高いと考えられた。また、前年と同様に鳥類が本病の伝搬にどの程度関与しているかを明らかにするため、営巣材料として絹皮病罹病枝を利用しているかどうかについて調査を行ったが、営巣材料として絹皮病罹病枝を利用している例は認められなかった。
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