研究概要 |
通常、細菌の高感度検出に用いられる蛍光in situ hybridization(FISH)法では、化学合成したオリゴヌクレオチド5'-末端に、Cy-3蛍光色素を付加したものが使用される。本研究課題で使用する蛍光標識プローブも、同様の方法により合成されたものを使用することを当初考えていたが、これらCy-3末端標識の蛍光標識遺伝子プローブでは、細菌迅速検出装置(Bioplorer)で検出できるだけの充分な蛍光強度を得られないということが判明した。そこで、現在市販されている細菌検出用のキットを使用することを考えた。 大腸菌の検出実験: 大腸菌(Escherichia coli)の蛍光顕微鏡によるFISH法のために作られたRibo Technologies Corp.の検出キットは、大腸菌16SrRNAの特異的塩基配列を識別して、in situ hybridizationを行うが、蛍光色素の詳細に関しては公表されていない。本研究では、このキットを用いて、大腸菌のin situ hybtridizationを行い、Bioplorerによる検出を試みたところ、極めて良好な結果を得た。すなわち、固定した大腸菌をこのキットによりハイブリダイゼーションを行った場合、あらかじめ対比染色用に染めた4',6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)により得られる計数値と、FISH法によりプローブ蛍光標識した細菌計数値との問に、高い相関性が確認された。また、この大腸菌検出用プローブが他菌種(黄色ブドウ球菌)との非特異的分子交雑(クロスハイブリダイゼーション)を起こさないことも確認された。 酵母の検出実験: 酵母(Candida albicans)の蛍光顕微鏡によるFISH法のために作られたAdvanDx Corp.の検出キットによる、標的酵母(Candida albicans)の検出実験を行ったところ、大腸菌同様にBioplorerによる高い検出感度と検出特異性を確認することができた。
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