研究概要 |
1)遠隔目視システムの構築 遠隔地での検査結果を現地でパソコンに取り込み,それをホームページにアップロードして,こちらでダウンロードするシステムの基本形を構築した。これにより,携帯電話がつながる範囲では,即座にデータを共有できることが可能となった。また,携帯がつながらない範囲においては,当初,衛星電話を想定していたが,通話料が予想以上にかかることが判明し,実用には適さないことが分かった。そのため,無線LANの電波を中継して遠隔地においてもデータを取得する技術の開発を行うことにした。現在,その基本的なシステムを構築中である。 2)遠隔打音測定システムの開発とダメージパラメータの取得 水利構造物は他の構造物と異なり,水に接している期間が長いため,検査する際の状態によって水分量が異なる。水分量が異なると,弾性波の伝播形態が変化するために,その結果を間違って解釈する可能性がある。そのため,コンクリートの水分量が弾性波速度および卓越周波数に与える影響について基礎的な実験を行った。その結果,水分量が弾性波速度に与える影響は5-10%に及ぶことが分かった。また,岩石などの化学的劣化によるダメージパラメータの変化についても基本的な室内実験からその変化度合いを計測した。そして,それを用いて長期の間のどのように岩盤挙動が変わるのかをシミュレートする手法を構築した。その結果,劣化の進行が早い場合には,土圧や浸透量が大きく変化する可能性を示した。 3)赤外線カメラによる診断技術の確立 赤外線カメラを用いて,堤体の漏水範囲を推定する技術を検討した。その結果,冬場であれば,早朝の計測により水分の異なる範囲を明確に捉えることができることがわかった。
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