本研究は、生産から流通、消費に至る生鮮農産物・食品の品質評価の新しい指標としてテラヘルツ電磁波及び近赤外分光分析に注目し、農産物・食品に対する基本的特性を明らかにし、非破壊品質評価への応用を図ろうとするものである。すなわちテラヘルツ周波数域の電磁波(テラヘルツ電磁波)の農産物・食品への透過、吸収スペクトルを求め、テラヘルツ電磁波の農産物・食品の分光特性を1明らかにし、近赤外分光分析による品質評価と比較、検討する。特にテラヘルツ電磁波スペクトルと内部栄養成分(ビタミン類など)との関係を定量化し、品質評価への可能性を明らかにする。材料としてホウレンソウ、コマツナの生のままの葉を用い、光学的特性測定の基礎となる葉面の分布特性及びアスコルビン酸、硝酸態窒素含量を求め、光学的測定結果と比較した。 1.化学的分析によりホウレンソウの葉位別、1葉中の部位別のアスコルビン酸含量、硝酸態窒素含量を求めた。これより1株を代表するアスコルビン酸含量と硝酸態窒素の平均的測定場所を確定し、光学的測定場所を決定した。 2.葉菜類のような薄くて変形の大きな供試体に対する分光測定法として、拡散透過による近赤外分光による硝酸態窒素含量、シュウ酸含量の校正曲線を求め、非破壊測定の可能性を明らかにした。 3.テラヘルツ電磁波分光に関する装置的検討を行い、測定方法を提案した。しかし内部成分としてのアスコルビン酸、硝酸態窒素含量とテラヘルツ電磁波分光法との相関が不充分で、葉内水分の影響を受けるものと推測した。
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