研究課題
本研究の目的は、1)赤血球膜上の感染受容体候補分子の構造・合成に関わる各種機能蛋白質ノックアウト(KO)マウスを活用して、マウスバベシア原虫の感染受容体分子の構造を詳細に絞り込み、2)その情報をもとに原虫側リガンドをコードする責任遺伝子の同定を試みることにある。そこで、平成18年度は各種KOマウスを活用して、バベシア原虫の感染受容体分子構造の絞り込みを行った。1)糖転移酵素KOマウス及びグライコフォリン(GPA)KOマウスのマウスバベシア原虫感染実験:各種KOマウス(ST3Ga11及びGPAKOマウス)を準備し、マウスバベシア原虫を感染させ、致死率や原虫の増殖率の変化等をコントロールマウスと比較して観察した。その結果、ST3GalIKOマウスの感染病態はコントロールマウスのそれらと有意な差は見られなかったのに対して、GPAKOマウスはマウスバベシア原虫に対して著しい耐性を示すことが明らかとなった。2)各種糖転移酵素KOマウス赤血球のGPA上のシアル化糖鎖構造の解析:上記2種類のKOマウスの赤血球GPA上のシアル化糖鎖構造を検証した結果、GPAKOマウスの赤血球膜はGPAに加えてα2,3結合型シアル酸分子が著しく脱落していたのに対して、ST3GalIKOマウスの赤血球膜上のシアル化糖鎖構造はコントロールのそれとほぼ同じであった。3)マウスバベシア原虫の感染受容体分子の構造:GPA上に付加されているα2,3結合型シアル酸分子はマウスバベシア原虫が赤血球に侵入する際の宿主側感染受容体分子であることが示された。4)感染抵抗性を示すKOマウス体内での環境適応マウスバベシア原虫の出現:感染抵抗性を示すGPAKOマウスに強制多継代感染を行った結果、病原性を回復したマウスバベシア原虫が出現することが明らかとなった。
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