研究課題
BSEやクロイツヘルトヤコブ病は異常型プリオンタンパク質(PrP^<Sc>)の脳内への蓄積が引き金となって起きるが、プリオンタンパク質がCu^<2+>結合タンパク質であることから、銅イオンが異常型プリオンタンパク質生成の原因物質の一つとして考えられている。プリオンタンパク質への銅結合部位としては4つのオクタリピートと呼ばれる特異配列に4個の銅イオンの結合が報告されており、これが異常型プリオンタンパク質形成に重要であることが報告されている。しかし、最近、この4つのオクタリピート以外にも銅イオンが結合する部位に結合する可能性があることが報告されているが、具体的にどこのドメインのアミノ酸残基が関与するかとの報告はタンパク質レベルでなされていない。本研究ではCu^<2+>イオン結合の可能性のあるH95領域の近傍の数カ所に部位特異的スピンラベル剤を導入し、常磁性金属とNオキシルとのパルスESR法と持続波ESR法による双極子相互作用によるline broadningを利用した分子間距離の計測技術の確立を試みた。その結果、H95に配位している銅イオンの存在が示された。この領域は最近、銅イオン結合が可能である部位としてモデルペプチド断片の研究で類推されているが、実際、全長タンパク質での結合構造にっいてはNMRやX線解析が適用できないことから、未だ詳細なモデルが報告されていない。従って、この領域の構造決定は重要であり、今回、初めてこの領域の構造変化を捉えることに成功した。以上のことから本距離測定法は結晶化を必要とせず、分子量にも依存しない、さらに構造変化を経時的に捉えられる構造解析法として有用なツールとなると考えられる。次年度はC末端領域にも銅イオン結合部位の可能性がいくつか考えられ、パルスESR法と持続波ESR注により検討を進める予定である。
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