研究課題/領域番号 |
18658120
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小峯 健一 東北大学, 大学院歯学研究科, 非常勤講師 (90400259)
|
研究分担者 |
菅原 俊二 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (10241639)
黒石 智誠 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30400261)
小林 仁 宮城大学, 食産業学部, 教授 (40234827)
|
キーワード | 乳房炎 / ラクトフェリン / 口腔上皮細胞 / 催炎症作用 / 炎症性サイトカイン / ポリペプチド |
研究概要 |
本年度はウシ乳房炎乳汁より催炎性ラクトフェリン分子を含む画分をCon Aセファロースを用い分離し、これと、合成した催炎性ラクトフェリン分子を用い、ヒト由来口腔上皮株化細胞(HSC)に対する刺激活性を調べるため、培養液中に乳房炎由来催炎性ラクトフェリン・ポリペプチドもしくは合成催炎性ラクトフェリン分子を添加し5日間共培養を行った。その結果、培養開始後3日目のHSC培養上清中に、TNFα、IL-6ならびにMCP-1の産生誘導能が確認された。 さらに、ウシ乳房炎乳汁の催炎性ラクトフェリン分子のアミノ酸配列を、唾液中催炎性ラクトフェリン・ポリペプチドと比較検討した。その結果、ヒトラクトフェリン分子中に見いだした催炎性ラクトフェリン・ポリペプチドが2つのポリペプチドであったのに対し、ウシではその内の一つと高い相同性を持つポリペプチドであった。 また、ヒト口腔上皮細胞がラクトフェリンおよび催炎性ラクトフェリンに対するレセプターを有するか否かについて、実験を行い、ラクトフェリンに対するレセプターを保有することがウェスタンブロオッティング法で確認された。また、バインディングアッセイにより濃度依存的に結合量が増加することも確認された。一方催炎性ラクトフェリン・ポリペプチドについては、ウェスタンブロッティングならびにバインディングアッセイなどの手法を用い、現在確認を行っている。それぞれのレセプターについては確認された後にアミノ酸配列を解析し、既知の細胞表面抗原か否か検討を行う予定である。 以上の結果から、ウシ乳房炎乳汁中に出現する催炎性ラクトフェリン分子は、ヒト催炎性ラクトフェリン・ポリペプチドのうち一つと高い相同性を示すポリペプチドであることと、催炎作用を示すことが確認できた。しかしながら、これら分子による催炎作用がどのようなレセプターを介して行われているかは未だ明らかでない。
|