研究課題/領域番号 |
18658126
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
窪田 力 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (80420652)
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研究分担者 |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
津田 知幸 独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構, 動物衛星研究所, 研究管理監 (70355212)
佐藤 真澄 独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構, 動物衛星研究所, 研究室長 (00355215)
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キーワード | 発育不良 / 血清中炎症性蛋白 / Pig MAP / ハプトグロブリン |
研究概要 |
肉用牛の生産現場における子牛の発育障害は大きな問題となっている。それは、虚弱または発育不良牛の発生原因が明確でなく予後判定が曖昧であるためと考えられ、結果的に飼養が継続されるとともに加療も長期間に及んでいる。そこで、当該子牛において臨床病理学、ウイルス学、分子生物学的な検索を実施して特異的な指標を明らかにすることで、虚弱または発育不良牛の判定基準を明らかにする。特に今回の研究では虚弱または発育不良牛についてその発生原因特定を分子生物学的にアプローチすることである。 研究初年度の平成18年度には40例の発育不良子牛や各種疾病罹患子牛の剖検を行い病理学的検索を行うとともに、他の牛で採取した約120頭の慢性的な症例の血清と肺炎などの発症直後(急性)の血清63頭および奇形例42頭を併せて、ハプトグロブリン(HPT)やPig acute phase protein(Pig MAP)などの血清中炎症性蛋白質の測定を行った。 発育不良子牛は肺炎や下痢を発症している子牛が多かったが、血液学などの臨床または比較解剖学的剖検では異常のみられない場合も20%弱存在した。これらの子牛の血清中炎症性蛋白質の発現は、肺炎や気管支炎などの臨床症状や病理所見時に健常子牛よりも高い値を示し、特に肺炎では、重度例や急性例で軽度例よりも高い値を示し、HPTやPig MAPが疾病や症状の重篤をはかる指標としての有効性が明らかとなった。これらは平成18年度九州地区獣医師大会で口頭発表され、牛ではPig MAP測定の報告は非常に少なく、また臨床的な観点からは本発表が初めてのことであった。 しかし、臨床症状や病理所見で異常がみられない発育不良子牛では今回のHPTやPig MAPは指標として有効でないことが判明したので、今後新たな収集したサンプルと新たに材料を採取して指標を検討する必要がある。 なお、上記結果については、検討を加えて論文投稿する予定である。
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