研究課題/領域番号 |
18658126
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
窪田 力 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (80420652)
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研究分担者 |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
佐藤 真澄 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所九州支所, 主席研究員 (00355215)
山川 睦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所九州支所, 上席研究員 (40355186)
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キーワード | 子牛の発育不良 / 血清中急性炎症性蛋白 / Pig-MAP / HP / 胸腺 |
研究概要 |
子牛におけるPig-MAPなどの血清中急性相蛋白の検出が、血液検査所見や病理所見あるいは胸腺との関連性について調査し病勢把握や早期予後診断を可能にする指標としての有用性を検討するため、子牛225頭の血液検査および一般臨床検査の他、血清中Hp濃度およびPig-MAP濃度測定し、うち半分余りは病理解剖を行った。病理解剖所見では肺炎症例が最も多く、肺炎におけるPig-MAPは、下痢などの他の疾病より有意に増加していた。肺炎の慢性例重度のPig-MAPは軽度・中程度肺炎に比べ有意に増加し、急性例も大きく増加していた。肺炎や産褥熱では、発症日や翌日にHp、Pig-MAPは最高濃度を示したが、加療経過とともに減少傾向を示した。下痢症では濃度の変化はみられなかった。また、肺炎の症例におけるHpは直腸温より一日程度先行して、Pig-MAPは一日遅れて変化を示したことから、肺炎発症および治癒判定に有用であると考えられる。胸腺は、先天異常牛と比べて発育不良牛で明らかに重量体重比が小さい傾向にあり、加齢性変化とは異なった高度な退縮組織像が確認された。 本研究で、発育不良子牛の多くには慢性化した病変が存在し、それとともに胸腺の萎縮もあることから免疫能が低下し、さらに発育不良を引き起こしていることが推測される。Pig-MAPやHPなどの血清中急性蛋白を継続して調べることで、疾病の種類や程度の状態を把握できる可能性が示されたことから、臨床現場における有効な指標として示唆された。
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