研究課題/領域番号 |
18658129
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 健太郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (80374627)
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研究分担者 |
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50332474)
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キーワード | ケナガマンモス / チトクロームP450 / ゾウ / 古環境 / 解毒酵素 / 種差 |
研究概要 |
チトクロームP450(CYP)は外来異物を主な基質とする事を特徴とする酵素である。天然物質としては植物性アルカロイドなどが基質として知られている。これは植物側が捕食されないための防衛手段として毒性のあるアルカロイドを産生し、草食動物がそれを解毒するための酵素を進化させたと考える事が出来る。従って、解素酵素を解析することによって、餌生物に関する情報を得る事が出来るのではないかと考えた。本研究の最終的な目標は、既に絶滅してしまったケナガマンモスのCYPの解析を通して、その種が生息していた環境に関する情報を得ることである。本年度は下記の成果を得た。 CYPの種間差を比較検討するために、哺乳類の12目、38種の試料採集を行った。このサンプルを元に、CYP1AのcDNAをクローニングし、その塩基配列について比較検討を行った。また、酵素活性と基質特異性について調べた。 哺乳動物目間の比較では、食肉目内で塩基配列の種差が比較的少ない傾向が明らかとなった。また、酵素活性を調べたところ、草食獣では他の食性をもつ動物種に比べ、酵素活性が高いことが明らかとなった。これらの草食獣では、肝臓におけるCYP1Aの発現レベルも高かったことから、草食性の動物ではCYPをより多く発現させることで酵素活性を高く保っていると考えられた。食性の違いで代謝の動物種差があることから、これらの傾向は動物の生息状況を反映している可能性が示唆された。
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