研究概要 |
草本系バイオマスの利用方法は、燃焼利用法以外にはエタノール製造やガス化利用などのエネルギー生産が緒についたところであり、賦存量が豊富な草本系バイオマスのエネルギー生産手法については、さらに合理的な方法の研究開発が望まれている。本研究開発の目的は環境負荷の一因となる高N有機性廃棄物のバイオガス発酵消化液からストリッピングするアンモニアを利用し、セルロース系農業バイオマスにアンモニア処理を施し、アンモニアによるセルロースの加安分解を促進し、さらに微生物培養システムによって水素・メタンの生成システムを確立し、エネルギー低投入型N循環を可能とする方法を開発することである。 1) メタンバイオリアクターにおける反応率・転化率、収率、SV等の実測算定に基づくリアクターの装置規模及びスケールの確定 草本系セルロースバイオマスとして麦稈をモデルとして供試した。高温発酵型バイオガスプラント発酵消化液(スラリー)からアンモニアストリッピング法によってアンモニアを抽出して麦稈のアンモニア処理を行い、アンモニア処理麦稈を作出し、発酵の供試基質として用いた。また培養のイノキュラムとして牛ルーメン内細菌をルーメンフィスチュラ装着牛のルーメンより嫌気的に採取した。水素・メタンシミュレーターで、加圧・電位制御培養試験を行い、反応率・転化率、収率、SV等の実測算定に基づくリアクターの装置規模及びスケールの確定を行った。 2) 反応率・転化率、収率、SV等のプラント規模設計主要値の策定 モデル試験からデータ収集整理を行い、プラント規模にスケールアップする場合の主要値を策定した。リアクター構造について対極が作用極の周辺ないし前後(上下)に付随する構造であっても, 電流が非常に小さいため, 電圧降下はほとんど起らず, 均一した作用極電位分布を実現できた。但し, 作用極は参照極による電位制御式とすることが好ましいことが明らかになった。 3) 研究総括及び成果公表 研究の総括を行い、GGAA及び日本畜産学会における成果報告と同時に特許申請、学術誌公表を行った。
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