研究概要 |
本研究では、イネ科外来種草本の駆除を念頭におき、イネをモデル植物として不稔個体を導入して駆除する方法を模索している。研究代表者は、次世代を残さない個体を作出するために、種子が出来ても発芽できない種子をつくるイネを、突然変異体や遺伝子組換えによって作出することを行っている。 本年度は、まず、独立行政法人農業生物資源研究所が保有しているイネ(日本晴)の突然変異系統のうち、発芽率が調べられている3489系統から、発芽率が0.4未満の83系統を購入し、25系統(平均発芽率0.27)を実験に共試した。種子は、野生株、ヘテロ、ミュータントホモが混合しており、発芽するものは野生株のみの可能性が高い。そこで、野生株以外も発芽しやすいように栄養分を含む寒天培地に各系統20粒ずつ播種した。この結果、平均発芽率は0.78まで上昇した。これらの個体を土壌に移し生育させ種子を収穫し、発芽実験に供した、この結果、これら収穫した種子の発芽率は、0.00から1.00まで個体によりばらつきはある(平均0.92)が、生育した個体は、野生株もしくはヘテロと考えられる。現在、サザンブロッティングを用いて、発芽率と関係する遺伝子の関係の検出を試みている。 遺伝子組換え体の作出に関しては、胚乳異常に関係する遺伝子を模索し、3遺伝子に絞り込んだ。一つは、CDPK遺伝子の一つであるイネの水モミ化の遺伝子SPK(Kawasaki et al., 1993)である。他の2つは、胚乳発生におけるゲノムインプリンティングに関係する遺伝子のうち、イネでDNAメチル化が確認されているMETlaとMETlb(Yamauchi et al., 2008)である。来年度からは、これらの遺伝子のアンチセンスを作成する予定である。
|