研究課題
石油などの化石資源から作られるケミカルスや合成プラスチックは、工業、農業、生活、医療などあらゆる分野に必要不可欠な素材であるが、化石資源の枯渇と地球の温暖化が深刻化するにつれ、これらをバイオマスから体系的に生産することが強く求められている。一方、21世紀の科学を切り拓く新たな化学反応場として超臨界流体が注目を集めており、特にプロトン性溶媒が超臨界状態となることでイオン積が増大し、加溶媒分解能が付与されることが知られている。そこで本研究では、このような超臨界流体のもつ加溶媒分解能を活用して、バイオマス廃棄物などを無触媒で効率的に可溶化させ、得られた液化物から新規なバイオプラスチックを創製することを試みている。まず、当研究室で開発済みのバッチ型及び流通型の超(亜)臨界流体処理装置を用い、その特性を引き出しながら、種々のアルコールを用いた超(亜)臨界状態でのバイオマスの高速・高効率の加溶媒分解を試みた。その結果得られた液化物の物性評価により、熱可塑性を有する素材に変換されていることが判明した。これまでの超(亜)臨界流体技術によるバイオマスからのバイオ燃料や有用ケミカルスの研究では液化に主眼がおかれていたが、本研究では、液化よりもむしろ高速・高効率な加溶媒分解によるバイオマス成分の化学修飾に注目しており、高分子状態のまま熱可塑性を有する組成へと変換する点に特徴がある。今後、バイオマスを構成するセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの化学修飾(加溶媒分解)状態を個々に調査し、超臨界流体によるバイオマスの化学修飾液化のメカニズムを明らかにしながら新規な生分解性バイオプラスチックの創製を進めていく予定である。
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