平成19年度は、平成18年度に引き続き、セルソーターによってリボスィッチをスクリーニングする系の確立を試みた。そのために、リジンがリボスィッチとしてLysC遺伝子の発現制御を行う系に加え、チアミンピロリン酸がThi遺伝子の発現制御を行う系、ならびにビタミンB12がBtuB遺伝子の発現制御を行う系を新たなモデル系として用いることにした。具体的には、それぞれの遺伝子の制御配列を大腸菌や植物からPCR法によりクローニングし、GFP遺伝子の5'上流あるいは3'下流に連結し、大腸菌に導入した。そして得られた大腸菌が、代謝産物を添加しない条件下では発現抑制が起こらず、緑色蛍光を発することを確認した。現在、代謝産物の添加によって発現制御が行われるかどうかを、様々な条件下で調べている。 植物のゲノム配列からリボスィッチによって制御される配列(遺伝子)をスクリーニングするために、ゼニゴケを材料としてゲノムライブラリーの作成を試みた。まず、ゼニゴケ葉状体からゲノムDNAを精製し、得られたDNAを切断した。次に、これらをサイズ分画した後、GFP遺伝子の5'上流に連結し、大腸菌に導入した。ゼニゴケのゲノム配列を全てカバーするライブラリーを作成するためには、多数の形質転換体を獲得する必要があり、現在実験中である。今後、必要な数の形質転換体が得られれば、代謝産物の有無により、GFP遺伝子の発現がどのように変化するかをセルソーターを用いて調べ、スクリーニングの系の確立を行う。
|