研究概要 |
【目的】我々は、リン酸化合物に対するケモアフィニティー担体として、従来のチタニア(TiO_2)に加え、各種酸化チタン(TiO、Ti_2O_3、Ti_3O_5、TiO_<1.98>)や金属チタン(Ti)も有用であることを見出している。本年度は、Ti充填プレカラムを装着したカラムスイッチングHPLC(CS-HPLC)システムを用い、有機リン酸化合物の吸着特性並びにその他の酸性化合物に対する選択性の向上について検討した。【実験】試料:主に10μMリン酸化ペプチド[Ile-Ser(p)-Val-Arg(PP1)、Gln-Ile-Ser(p)-Val-Arg(PP2)]、Glu-Glu及びフタル酸異性体混合物の水溶液を用いて検討した。CS-HPLC : Tiプレカラム(4.6mm i.d.×10mm)に種々の試料吸着溶媒を送液し試料を注入、次いで吸着した試料をLiCl含有0.05Mホウ酸塩緩衝液(pH8.0)で脱着し、分析カラム(Asahipak NH2P-50-4E,4.6mm i.d.×250mm)に導入後同溶液を移動相とし分離、検出した(UV 215nm)。【結果・考察】リン酸化合物以外の酸性物質による非特異的吸着の抑制を目的に、試料吸着溶媒として種々の酸、有機溶媒、塩などの溶液を用い、各化合物の回収率を調べた。その結果、(1)10mMホウ酸はPP1(73.5%)、PP2(94.3%)を良好に保持し、かつ、Glu-Glu(10.5%)の吸着をかなり抑制する。(2)10mM NaClと50%アセトニトリルは、優れた非特異的吸着抑制効果を示すが、PP1、PP2の回収率も相当低下するなどの知見が得られた。さらに検討したところ、NaCl含有10mMホウ酸が満足しうる結果を与えることがわかった。即ち、PP1、PP2の回収率はNaCl濃度100mMまでほぼ一定かつ良好(PP1、73.0%;PP2、88.3%)であったのに対し、Glu-Glu及びPTAの回収率は漸減し、100mM NaClの時にはそれぞれ、9.1%及び2.2%まで低下した。現在、より一層の選択性向上を目指し、NaFの利用などについて検討中である。
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