1.チタン微粒子のリン酸化タンパク質吸着特性:リン酸化タンパク質としてβ-カゼインを用い、チタン微粒子(粒子径:44-77μm)に対する吸着特性を調べた。即ち、50μg/mLのβ-カゼイン溶液にチタン微粒子を加え、その吸着量を測定した。その結果、0.1Mトリフルオロ酢酸中では加えたβ-カゼインの約30%が吸着することがわかり、チタン微粒子がリン酸化タンパク質の分離基材として有用である可能性が示された。 2.DNA1塩基置換(SNPs)解析への応用:チタンナノ粒子にキャプチャープローブDNAを吸着させ、完全相補のDNA断片のみがハイブリダイズすることに基づくSNPs解析システムを設計した。即ち、キャプチャープローブには(dT)8を、ターゲットDNAには、正常DNA断片として(dA)8を、そのうち1個所をdTで置換した8種の(dA)7-(dT)1をSNPs相当DNA断片として検討した。まず市販のチタンナノ粒子2種を用い(dT)8の吸着を試みたが、充分な吸着体を得ることができなかった。これは用いたナノ粒子の表面が、凝集防止用にコーティング処理されていたためと考えられた。そこで、チタニア(二酸化チタン)微粒子を用い、同様の検討を試みた。その結果、キャプチャープローブDNAは良好に担持できることがわかった。また、これによるターゲットDNAとのハイブリダイゼーションを試みたところ、反応上清中に(dA)8はほとんど検出されなかったのに対し、ミスマッチである(dA)7-(dT)の場合には、dTの存在位置にかかわらず、微量のそれらが検出された。以上の結果は本システムの原理的な妥当性を示すものといえ、今後、チタンナノ粒子を用いるシステムについても再検計する価値があるもの考えられた。
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